「自分の庭に活かせる!」RHSウィズリーガーデン流の花壇の花が重くても倒れない、支柱の立て方テクニック。

ウィズリーガーデン ロングボーダー イギリス
ウィズリーガーデンのミックスボーダー
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私は2004年から2006年の2年間、イギリスにあるRHS(王立園芸協会)ウィズリーガーデン(Wisley Garden)で研修生として働いていました。

1年を通してのガーデンの移り変わりを働きながら、間近で見ることが出来たのは、私にとってとても貴重な経験でした。その中で学んだことを少しずつ、皆さんにお話ししたいと思います。

今日は花壇の作り方のテクニックの一つ、支柱立てについてお話しします。

ウィズリーガーデンには全長128m幅6mのメインのミックス花壇があります。その光景は圧巻です。

ウィズリーに行ったことがある方は、必ず、見たことがあると思います。その花壇は冬の間は、ほとんど何もなくなるため、閉鎖されてしまうのですが、春になってからの最初の作業が、支柱立てになります。

花壇の一部8月撮影

・支柱立ての役割

支柱立ての役割は植物が背を伸ばしていった時に、倒れることなく茎を伸ばし、花を咲かせるように、支えることです。

・ポイント① 支柱を目立たない色にする

考えることは2つあります。一つ目は、支柱をしていることが目立たないこと。

イギリスでは伝統的にイギリス原生のシラカバ(Betula pendula)を使います。シラカバの枝は、赤茶色なので、あまり目立ちません。

準備として1-2月に落葉したものを切り出して、ストックしておきます。

4月に切ってそのまま使うと、枝の芽が動き出しているので、腐ったりして長持ちしません。※注意!!

市販のものを使う場合は、黒色の支柱を使うと、目立ちません。竹支柱などを使う場合は、黒で塗るのも方法の一つですね。

・ポイント② 植物が伸びる背丈より支柱を高くしない

シラカバの枝は適当な長さに切って支柱したい植物の周りに挿していきます。そして、上部の枝同士を絡め合い、アーチを作るイメージです。

シラカバの支柱
アーチを作る

アーチの中から、植物が芽を出し、伸びていくとアーチを突き抜けて、アーチ全体を覆うようになり、シラカバの支柱は見えなくなります。

この時、その植物がどのくらいの背丈になるかを予想して、支柱の高さを決める必要があります。ここが植物の知識を持つ、ガーデナーの腕の見せ所ですね。

6-7月頃になると、元気よく真っ直ぐ立って花をつけている植物を見て、どうして倒れていないんだろうと不思議に思うわけです。


これが、ウィズリーガーデンの花壇の作り方テクニックなのです。

わずかにシラカバが見えている
シラカバが完全に見えなくなっている
花が倒れることなく咲いている

・失敗例も見せる

ウィズリーガーデンには多くの会員の方や、観光客の方が訪れるので、その人達のために、色んなバリエーションの見せ方をします。


支柱もすべてシラカバを使ってやれば、全て綺麗に見せれるのですが、シラカバが手に入らない人もいるので、市販の支柱を使ったりもします。
市販のものを使うときも、色が黒のものと緑のものどちらも使って、見る人に違いを見せます。
直感的に緑の方が植物の緑と重なって目立たないような気がするのですが、実際見ると、人工物の緑は天然の緑の中では目立ってしまうことに気づきます。

あえて、失敗例を見せて比べることで、そのテクニックを伝えることもウィズリーガーデン流の見せ方のテクニックになります。

最後に大事なことは、この花壇では宿根草が多いため、冬の間は地上部はなくなります。そして、年々株が大きくなっていきます。宿根草は年数を重ねるごとに、背丈も大きくなります。(ある程度の限界はありますが)

そこで、毎年、それぞれの植物の背丈を記録しておきます。株が大きくなりすぎたものは、冬の間に株分けの作業をしたりするのですが、実はこの記録を見ながら、春に支柱をする高さを決めていたのです美しく見せるために、このような前準備をしていたのです。

イギリス人の園芸に対する惜しみない努力に感服しました。

このように、イギリスのガーデニングには庭、植物を綺麗に見せるための色んなテクニックがあります。

これからも、私がウィズリーガーデンの2年間で学んだ色んなテクニックを少しづつこのブログで紹介していきたいと思います。


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