ビバーナムって何?日本に出回っている種類の解説。

ビバーナム
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最近の園芸業界、植木業界では、ラテン名をそのままカタカナ読みすることがよくあります。ラテン名を覚えると世界に通用するので、ラテン名で呼ぶことは悪い事ではないですが、時に混乱することがあります。
ラテン名の属名だけだとその種名が分からなく、詳しい植物の特徴が分かりません。

ですので、この記事では、ビバーナムの種名までラテン名で表記し、それぞれの特徴を解説したいと思います。種名まで調べるには、海外のサイト等を参考にしましたので、ついでに、ビバーナムの海外でのトレンドも記事にしたいと思います。

この記事を読み終えた時には、ビバーナムについての知識がアップして、自分の庭に植えてみたくなるビバーナムが見つかること間違いなしです。

ビバーナムって何?

「ビバーナム」とはラテン名(学名)で書くと、Viburnumでイギリスでは、「バイバーナム」とか「ビブルナム」と発音していました。(ラテン名の発音は現在ラテン語を喋る人がいないので、正解はありません。
Viburnumは日本名でいうガマズミ属になります。ガマズミ属は世界に150種以上あり、うち日本には15種類が自生しています。主なものでいうと、ガマズミ(V. dilatatum)、ハクサンボク(V.japonicum)、チョウジガマズミ(V.carlesii var.bitchiuensis)、ヤブデマリ(V.plicatum var.tomentosum)、サンゴジュ(V.odoratissimum var.awabuki)などがあります。
※サンゴジュもガマズミ属だったとは知りませんでした。

その「ビバーナム」ガマズミ属の中で、園芸用として、日本に出回っている種類を取り上げて、種名ごとに解説していきたいと思います。

園芸用として売られているビバーナムおすすめ6選。

オオデマリ(V.plicatum f.plicatum)

日本では非常に古くから栽培されている園芸種で、庭木や切り枝などに利用されます。ヤブデマリに由来する園芸種なので、日本の気候に合い、育てやすいです。成長はゆっくりですが、萌芽力が強く、強剪定にも耐えます。落葉時に前年枝を切ってしまうと、花が咲かないので注意しましょう。
種類:落葉低木(3m程度)
花期:5-6月(白花)香りはない

オオデマリの園芸品種

ジェミニ 枝によって白とピンク花の両方が咲く、咲き分けの品種です。学名不明だが海外のサイトを調べてみると、V.plicatum f.plicatum‘Pink sensation’ではないかと思います。この品種を海外から導入した人が、勝手に名前を付けた可能性があります。(これはあるまでも私の予想です)
※参考にしたサイト https://landscapeplants.oregonstate.edu/plants/viburnum-plicatum-var-plicatum-pink-sensation

メリーミルトン V.plicatum f.plicatum’Mary Milton’ カーネーションのようなピンク色の花をつけます

ヤブデマリ(V.plicatum var.tomentosum)

ヤブデマリは、日本原産のビバーナムの種類です。特徴は、オオデマリと変りませんが、花がガクアジサイのように、両性花の周りに装飾花をつける形で咲きます。花の咲き方も特徴的です。大木にならないので、小さい庭のシンボルツリーにおすすめです。

ヤブデマリの園芸品種

ピンクビューティー V.plicatum f.plicatum ’Pink Beauty’ 樹高がよりコンパクトになり、名前の通り、咲き始めは白ですが、徐々にピンクになっていきます。前年枝に花を咲かせるので、冬、春に剪定をすると花をつけないので、注意しましょう。

オオチョウジガマズミ(V.carlesii)

オオチョウジガマズミは花はオオデマリより小さい(7㎝ぐらい)が、花に香りがあります。シンボルツリーになるほど大きくなりませんが、シンボルツリーの横に植えるサブとして植えるのにおすすめです。
種類:落葉低木(3m程度)
花期:4-5月(白花)香りがある

オオチョウジガマズミの園芸品種

オーロラ V.carlesii ’Aurora’ 成長が遅く、2mぐらいまでしか大きくなりません。花が大きいのが特徴です。RHSのAGMを取得している品種です。

日本ではこの一品種しか出回っていません。海外では(Koreanspice Viburnum)と呼ばれ、多くの園芸種があります。なかでも「Diana」という品種はRHSのAGMを取得していて、花の咲き方が、蕾の赤い色から開花に連れて、薄いライラック色に変化するのが美しいです。

ビバーナム カールセファラム (V.×carlcephalum)

カールセファラムはオオチョウジガマズミ V.carlesiiV.macrophalumの交雑種で花の香りが強い品種です。オオチョウジガマズミに比べて、花が大きいので園芸的に見栄えがします。お庭では日本の沈丁花のような使い方が出来ると思います。大きな庭があり、花の香りを楽しみたい方にお勧めの品種です。

ビバーナム カールセファラムの園芸品種

日本では、園芸品種は出回っていません。海外でも「Cayuga」という品種一つだけしかないようです。

ビバーナム オプルス (V.opulus)

イギリス原産の植物で、葉っぱがカエデの葉のように3つに分かれているのが特徴的です。花が終わった後に赤い実が付くので、英名では(European Cranberrybush)と呼ばれています。日本には切り枝用にスノーボールやコンパクタなどという品種が出回っています。
種類:落葉低木(3m程度)
花期:5-6月(白花)

ビバーナム オプルスの園芸品種

スノーボール V.opulus ’Roseum’ 本当の園芸品種名はRoseumだという事ですが、日本ではビバーナム スノーボールで出回っています。切り花として売られているだけあって、花の大きさと花付きがとても良い品種です。ヨーロッパの品種なので多少暑さに弱いですが、九州でも十分夏越し出来ます。ただ、花に香りが無いのが残念です。

ビバーナム ティヌス (V.tinus)

地中海原産の植物で、光沢のあるコバルトブルーの実が特徴的な、切り枝等にも使われる常緑樹です。葉も分厚く、しっかりしているので、生垣としても使えます。常緑樹なので、耐暑性もあります。花が咲いた後、切らずにそのままにしておくと、実を付ける可能性があります。日本名は「トキワガマズミ」と呼ばれています。
種類:常緑低木(3m程度)
花期:11-4月(白花)

まとめ

ビバーナムとはガマズミ属の事で、ヤブデマリやオオデマリも同じ仲間です。ただし、ヤブデマリやオオデマリは花に香りが無いのに対して、オオチョウジガマズミやビバーナム カールセファラムは花に香りを持つので、庭に植えると五感で楽しむことが出来ます。スノーボールは、ビバーナム スノーボールかオオデマリ スノーボールと表記されていることがありますが、ビバーナム スノーボールの方が学名的には正しいことが分かりました。

最近ではビバーナム ダビディ(V.davidii)やビバーナム シナモミフォリウム(V.cinnamomifolium)という品種も出回っていますが、どちらも常緑樹で実を楽しむ用途として植えられることが多いです。

海外ではもっと色んなビバーナムが園芸用として栽培されています。例えば、V. x burkwoodiiは常緑で花に香りがあり、コンパクトに育つので日本に庭にも好まれると思います。ほかにもAmerican cranberrybushと呼ばれるV.trilobumや落葉で青い実を付けるV.dentum‘Blue Muffin’などがあり、今後、日本に入ってくると面白い品種だと思います。

参考サイト https://www.gardenia.net/search

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