今日は
植木生産に使っている
肥料について書きたいと思います。
我々、植木生産者が
通常、植木を鉢で栽培する時は
窒素、リン酸、カリを
バランスよく含んだ
化成肥料を使います。
その中でも
植木は草花や鉢花に比べて、
生育期間が長いため、
緩効性の肥料
(通称ロング肥料)を
用土の中に混ぜ込みます。
緩効性の肥料
(通称ロング肥料)を説明すると、
180日、360日、700日のタイプがあり、
その日数をかけて
肥料分がゆっくり溶け出す
というものです。
溶け出し方というのは、
温度と水分が関係しており、
簡単に言うと、
冬は溶け出しにくく、
夏は溶け出す速度が
速まるといった感じです。
私が栽培している植木は
鉢上げしてから、
出荷までに半年から1年
かかるものが多いため、
180日と360日、700日タイプを
混ぜで使っていました。
ロング肥料を混ぜる量は
1立米当たり1㎏。
1L 当たり1g
を目安としています。
これぐらい施肥していると、
生育途中で
追肥がいらないようになります。
と、昨年までは
この肥料設計で
生産をしていたのですが、
ある問題が発生したのです。
鉢上げして
半年ぐらいたった
オリーブの木が
明らかに
肥料切れの症状を
見せたのです。
それまでは
順調に成長していたにもかかわらず、
ピタッと
急に成長が止まってしまいました。
用土の中には
360日と700日タイプの肥料が
入っているはずです。
なぜだろうと悩み、
資材屋さんに相談したところ、
それはおそらく、
溶け出した肥料を
全て吸ってしまって、
肥料分は残っているけど、
溶け出してないので、
植物が吸えないのではないか
というのを教えてくれました。
なるほど、
私は肥料分が残っているのに、
なぜ、肥料切れになるんだ
と思っていたけれど、
肥料は溶け出さないと
植物は吸えない、
肥料の溶け出す要因は、
温度と水分なので、
植物の成長には
関係ないという事を、
そこで初めて理解しました。
そこで、
その資材屋さんが
別の肥料を紹介してくれました。
それは
ちから1号(商品名)
という肥料です。
この肥料は
天然腐食に肥料成分を吸着・結合させて
粒状にした天然腐食マトリックス肥料
と書いてあります。
要は説明すると、
肥料分の溶け出しが、
温度、水分によるものではなく、
腐食分解によって
溶け出すという事です。
では腐食の分解は
どうやって起こるかというと、
微生物です。
土の中の微生物によって、
腐食が分解され、
徐々に肥料分が溶け出す
という仕組みのようです。
そして、
鉢の用土の中の
どこに微生物がいるかというと
根っこの周りです。
少し専門的な話になりますが、
微生物は
根っこの成長している
先端から出るムシゲルという物質と
共生しているので、
正しく、
根が伸びている周りに
沢山の生存しているのです。
このちから1号は、
その微生物の働きによって、
肥料分が溶け出すため、
根がまだ少ない時、
いわゆる微生物が少ない時は、
あまり、肥料が溶け出さずに、
根の成長につれて、
微生物が増えていくので、
そこで必要な肥料分が溶け出す
といった、とても理想的な肥料です。
この肥料の効果は
すぐに現れました。
現在は、
ロング肥料とこのちから1号肥料を
混合して使っています。
最後に勘の良い方は
気づいたかもしれませんが、
なぜ、
今まで肥料切れを起こしていなかった
オリーブが肥料切れを起こしたのか、
その答えはこちらの記事に書いてあります。
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